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アイルランド語を学ぶための辞書、文法書、独習書、参考文献等の紹介

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Gaeilge

アイルランド語を学ぶ

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いろいろな動機で アイルランド語(1) を学びたくなるときがあります。ただし、アイルランド語の勉強は簡単にはいきません。これにはいろいろな原因があります。

まず、文法が複雑 です。英語を支配する文法規則のおよそ 7 倍のルールがあると言われるくらい。

Languages of Ireland & UK  つぎに、文法と発音との両面にわたって、地域差が大きい。大きく、北、西、南の方言があります(順にアルスター、コナハト、マンスター)。
 右の図(SIL 作成)をごらんいただきたい。イギリス諸島でケルト諸語がもちいられる地域がななめの格子模様でしめされているが、ゲルマン諸語(ここでは英語など)がもちいられる縦じま模様の地域にくらべて圧倒的に小さい(詳しい 説明[英語])。
 アイルランド島(図の左側の小さいほうの島で、面積は北海道よりすこし広いくらい)をみると、西海岸と南海岸沿いに、点々と小さなケルト諸語(ここではアイルランド語)の地域があります。日常の話し言葉としてアイルランド語が用いられるのは、こうしたアイルランド語使用地域(ゲールタハト)にかぎられます。現在、ゲールタハトはアルスターのドネゴール、コナハトのメーヨー、ゴールウェイ、マンスターのケリー、コーク、ウォーターフォード、およびレンスターのミースにあります。各州の位置についてはこちらの 地図 を参照。ゲールタハトの位置についてはこちらの 地図 を参照。
 かつては全土でアイルランド語がもちいられ、どこでもほぼ同じことばが通じていたが、さまざまの経緯をへて、このように辺境に追いやられ、分散してしまうと、各ゲールタハトは孤立化し、たがいに別々の発展をとげることになります。
 なお、アイルランドの教科書や新聞では公式標準アイルランド語(1953年以来発行されている Gramadach na Gaeilge にもとづく、いわゆる Caighdeán Oifigiúil)がもちいられるが、これは書き言葉です。詩人や歌い手は、みずからの地域の方言でうたう。
 この公式標準アイルランド語による文法、つづり、語義などを知りたい場合は現行の Gramadach na Gaeilge agus Litriú na Gaeilge: An Caighdeán Oifigiúil (Baile Átha Cliath [Dublin]: Oifig an tSoláthair, 1998)を参照のこと。

アイルランド語の歌に使われる韻律法はやや複雑です。(2) 歌に使われる韻律法については簡潔な説明が The Companion to Irish Traditional Music (Fintan Vallely, ed. Cork, Ireland: Cork University Press, 1999, ISBN 1-85918-148-1)の 'song' の項(pp. 352-353)にあります。これ以外の文献はほぼすべて入手困難か、あるいはアイルランド語で書かれています。

愛和辞典はついに出ましたが、高価です。最新の成果をふまえた日本語の学習書はまだありません。(3) したがって、勉強の手がかりが少ない。この状況では英語による各種の道具を使うのが現実的です。

以上の困難を乗越えてアイルランド語の習得を目指そうとする人に道しるべを提供するのが本頁の目的です。星印 (★) はおすすめです。なお、基本的な辞書類は アイルランド語を調べる のページにもありますが、行き来する面倒を考えて、こちらにも再録してあります。註の内容も一部共通しますが、こちらは説明を詳しくしてあります。

辞書 | Index
  • Foclóir Poca (English-Irish Irish-English)Focloir Poca Book Cover
    (An Gúm, 1986, ISBN 1-85791-047-8) 発音表記を備えた唯一のアイルランド語辞典。この発音というのは、北の発音ではないかと言われている。名詞と形容詞とには、どういう型で活用するかの記号がついており、この記号をみれば、巻頭の表により簡単に活用できる。見出し語数3万。なお、出版元の An Gúm はアイルランド教育科学省の出版部門。通常のアイルランド語の調べ物にはこれで十分。大きい活字で組んだ Foclóir Scoile もあり(下記参照)。アイルランド等で開かれているアイルランド語の講座で勉強する場合、中級レベルまではこのクラスのポケット辞書で十分。

  • Foclóir Poca Learner's Cassette
    (Dónall P. Ó Baoill, An Gúm / ITÉ, 1986) 上記の Foclóir Poca の発音表記の体系を説明した秀逸なカセットテープ。どの地方と明示はされないが、各種の発音のちがいが比較して聞けるようにしてある。小冊子つき。

  • Foclóir Scoile (English-Irish Irish-English)
    (An Gúm, 1986, ISBN 1-85791-132-6) 上記の Foclóir Poca では字が小さすぎるという場合には、同内容をおさめ、やや大型にしたこちらをすすめる。見出し語数 30,000。

  • Collins Pocket Irish Dictionary (English-Irish Irish-English) Collins Pocket Irish Book Cover
    (Séamus Mac Mathúna and Ailbhe Ó Corráin, HarperCollins, 1997, ISBN 0-00-470765-6) 発音記号が不要であれば、この小型辞典はおすすめ。動詞の活用をはじめとする文法事項のまとめが附録にあり、非常にわかりやすい。二色刷。この ISBN 番号は英国版。米国版(Collins Gem Irish Dictionary)なら 0004707532 (写真右)。


  • Oxford Pocket Irish Dictionary (English-Irish Irish-English)
    (Breandán Ó Cróinin, Oxford UP, 2000, ISBN 0-19-860254-5) 超小型の Oxford Irish Minidictionary をすこし大きくした小型辞典。文法事項をまとめた附録は見やすい。

  • Foclóir Gaeilge-Béarla (Irish-English) ★Focloir O Donaill Book Cover
    (Niall Ó Dónaill. An Gúm, 1977, ISBN 1-85791-037-0) ポケット版にないアイルランド語の語彙や用例や語形はこれに当るしかない。事実上、現代アイルランド語について最も詳しい大型辞典。この ISBN 番号はペーパー版。ハード版なら 1-85791-038-9。アイルランド等で開かれているアイルランド語の講座で勉強する場合、上級レベル(大学レベルのアイルランド語をアイルランド語で教授する)ではこのクラスの辞書が必須。



  • Gearrfhoclóir Gaeilge-Béarla (Irish-English)
    (Niall Ó Dónaill. An Gúm, 1981) 上記大型辞典 Foclóir Gaeilge-Béarla を簡約化した中型辞典。スペース上等の必要がないかぎり、この辞書は不要。大型と小型とがあれば十分。

  • Foclóir Gaedhilge agus Béarla: an Irish-English Dictionary (Irish-English) Father Dinneen Book Cover
    (Patrick S. Dinneen, Irish Texts Society, 1927/1934, ISBN 1-870-16600-0) 標準化される前の長い綴りとゲール文字による見出し語が使われているが、今でも充分「読む」に堪える辞書。「読む」と書いたのは、豊かな用例や成句から、アイルランド文化の森の奥へと探検してゆくような楽しみが味わえるからである。


  • English-Irish Dictionary (English-Irish)
    (Tomás de Bhaldraithe, An Gúm, 1959, ISBN ISBN 1-85791-036-2) 英語からアイルランド語を引く時に最良の辞書。固有名詞を見出し語に含めているのが大きな特徴。

  • An Foclóir Beag: Gaeilge - Gaeilge (Irish-Irish)
    (An Gúm, 1991) アイルランド語をアイルランド語の発想で理解するための手がかりになる簡潔な辞書。

  • Gaoth an Fhocail (Irish-Irish)
    (Breadán Ó Doibhlin, Sáirséal Ó Marcaigh, 1998) アイルランド語の類義語辞典。

  • Dictionary of the Irish Language (Irish-English)
    (Roayl Irish Academy, 1990) 古期および中期アイルランド語の辞書。元は22分冊だったものを縮刷し、4ページを1ページにおさめたもの。読むには虫めがねが必要。


文法書 | Index
  • New Irish Grammar
    (The Christian Brothers, Fallon, 1999, ISBN 0-7144-1298-8) 英語で書かれた標準的なアイルランド語文法。もとになっている、アイルランド語で書かれた Graiméar Gaeilge (345頁)を半分に圧縮した簡潔な記述(152頁)ながら、辞書や独習書をよく補完する。

  • Modern Irish: Grammatical Structure and Dialectal Variation
    (Mícheál Ó Siadhail, Cambridge UP, 1989) アイルランドの三大方言 (アルスター、コナハト、マンスター) について、音韻論、形態論、統語論の観点からまとめた書。現代のアイルランド語学はこの書の成果をふまえることが必須であろう。方言ごとの特徴は、基本的にはこの書で押さえられるはずだが、ときに方言ごとの各論も必要になる。それで足りなければ Gaeilge-B のようなアイルランド語専門のメーリング・リストで訊くか、現地の人に訊くしかない。方言の細かい点に至るまで文書化されているとは限らないのである。なお、日本ではこの書の成果をふまえた学習書が出ていない。

  • An Teanga Bheo: Gaeilge Uladh
    (Dónall P. Ó Baoill, Institiúid Teangeolaíochta Éireann, 1996) アルスター地方のアイルランド語の文法について簡潔にまとめてある。アルスター特有の語彙集つき。アイルランド語で書かれている。

  • An Teanga Bheo: Gaeilge Chonamara
    (Sémas Ó Murchú, Institiúid Teangeolaíochta Éireann, 1998) コナハト地方のコナマラのアイルランド語の文法について簡潔にまとめてある。コナマラ特有の語彙集つき。アイルランド語で書かれている。

  • An Teanga Bheo: Corca Dhuibhne
    (Diarmuid Ó Sé, Institiúid Teangeolaíochta Éireann, 1995) マンスター地方のコルカ・グィヴナのアイルランド語の文法について簡潔にまとめてある。コルカ・グィヴナ特有の語彙集つき。アイルランド語で書かれている。おなじ著者による大部の研究書 Gaeilge Chorca Dhuibhne (Institiúid Teangeolaíochta Éireann, 2000, ISBN 0-946452-97-0)もあり、これには発音記号がついている。


独習書 | Index
  • Learning Irish: an Introductory Self-TutorLearning Irish Book Cover
    (Mícheál Ó Siadhail, Yale UP, 1995, ISBN 0-300-06462-4) 独習書。テープあり。入門書という副題が附いているが、実際には、アイルランド語の発音の体系について最も行き届いた記述を備えた書のひとつ。ゴールウェイ州の海浜地方 (Cois Fhairrge)、つまり An Spidéal (Spiddle) のあたりのアイルランド語に準拠している。なお、ドイツで出ている版(ドイツ語版)は、索引が充実していて使いやすい(Lehrbuch der irischen Sprache)。
     日本語版 『アイルランド語文法 コシュ・アーリゲ方言 Learning Irish』(研究社 ISBN 4327394122)が2008年1月24日に出版。ドイツ語訳版よりもさらに使いやすい。この一冊で現代アイルランド語西部方言については、ほぼ完全にマスターできる。この書を終えれば、初級からスタートして大体中級レベルまで完了する。
  • Irish on Your Own!: a Self-Guided Course in the Irish Language
    (Éamonn Ó Dónaill & Deirbhile Ní Churraighíin, NTC Passport Books, 1998, ISBN 0-8442-2619-X) ドネゴールあたりのアイルランド語を学びたい場合にはこの本が手頃。テープ附き。アイルランドで出ている Now You're Talking の米国版。

このほかに、現在では多数の独習書や独習用 CD-ROM 等が出ています。


参考文献 | Index

アイルランド伝統音楽関連の参考文献は こちら


  • 「アイルランド語――歴史および現状と課題」
    (ジェームズ・E・マッケルウェイン;『ケルト 伝統と民俗の想像力』、中央大学出版部、1991、所収) アイルランド語とはどういう言語なのか、その歴史と現状はどうなのか、といったことについて、25頁でバランスよくまとめた堅実な論文。基本的には Brian O/ Cuív, ed., A View of the Irish Language (Dublin: Stationery Office, 1969) がもとになっている。アイルランド語と琉球語とを抑圧の観点から比較した異色の コラム もある。背景をなすケルト系民族の 歴史 も参考になる。

  • 『ケルト事典』
    (ベルンハルト・マイヤー著、平島直一朗、桜内理恵、小池剛史訳、創元社、2001、ISBN4-422-23004-2) ドイツのケルト学の精鋭マイヤーの名著を日本向けにわかりやすく翻訳したもの。(古)アイルランド語について、これまで日本で出たなかではもっとも正確なカタカナ表記がもちいられている。ケルト文化、特に古代と中世のそれに関心のあるひとには文句なくすすめる。ヨーロッパのケルト関連の名跡歴訪の際にも持っていけるようなハンディなサイズ。この充実した内容で3500円は率直に言って安い。ただ、原語索引がないのはおしい。原著は Bernhard Maier, Lexikon der keltischen Religion und Kultur, Stuttgart: Kroner, 1994。この訳書については書肆 うさぎ屋の 書評 がある。なお、本頁のデザインは同書肆のすばらしい意匠に啓発されて2001年12月にあらためた。感謝します。


インターネット上の資源 | Index

特記なき場合は、すべて英語で書かれている。


学習
  • Learning Gaelic With the Irish Chieftain!
    初心者でもこの頁なら、楽しみながら入門できそう。そして、意外と奥行きは広い。まず、むかしの族長 (chieftain) の食卓のようすを描いた絵が出てくる。そのうえにマウスを持っていくと対応するアイルランド語が出るという仕掛け。言語と文化との両方への入門となる仕組みは心にくい。簡単な発音のガイドも附いているが、発音の原則については、できれば上掲書 Learning Irish などを参照することをお薦めする。

  • Irischkurs
    英語またはドイツ語によるアイルランド語の初級講座。発音を聞くこともできる。

  • An Doras: Guide to Learning Resources
    アイルランド語がどこでどうすれば学べるかについての総合的なガイド。どこで教材が買えるかの情報もある。

  • Gaeilge ar an Ghreasan
    アイルランド語関連の巨大なリンク集。アイルランド語で書かれている。インターネット上の学習サイトについては Foghlam na Gaeilge ar an Idirghréasán (Gaelic learners' material on the Internet) の項を見ればよい。

辞書
  • Irish Dictionary Online
    オンライン辞書。動詞の活用表もあり。

  • Gramadach Lexicon
    コンピュータ・プログラム用のライブラリだが、辞書としてもある程度つかえる。訳語は Foclóir Poca を始め、さまざまなソースから採っている。

発音

ラジオ

インターネット・ラジオを教材として利用する方法もある。(4)
  • Raidio na Gaeltachta R na G logo
    このリンクをクリックするとアイルランド語のラジオ放送がライヴで聞ける。Real Player が必要。RTÉ (アイルランド国営放送協会)の一部で、通称 R na G。アイルランド語のテレビには TG4 があり、有料で一部オンディマンド配信がおこなわれている。

  • Raidio na Life 106 Radio na Life logo
    アイルランド語によるダブリン州のコミュニティ・ラジオ(106.4 fm)。インタヴュー番組 'Cogar' がインターネット上で聞ける。Foras na Gaeilge と Gael Linn とが支援している。

  • BLAS
    アイルランド語による BBC 北アイルランドの30分番組。ゲストを迎えての話のほか、音楽もかかる。月曜から木曜まで 19:30 - 20:00 GMT に放送しており、こちら で聞ける。特別ゲストのインタヴューは必聴。伝統音楽家のインタヴューには演奏がはいっていることもある。

雑誌、新聞
  • Beo Beo logo
    たのしい読み物満載の月刊誌。アイルランド語で書かれているが、学習者への配慮が随所にある。たとえば、各記事のキーワードはマウスカーソルをもっていくだけで英訳が表示される。ドネゴール州の Oideas Gael の発行。

  • La logo
    アイルランド語で書かれた週刊新聞。北アイルランドのベルファストで毎週水曜日に発行している。Foras na Gaeilge が資金援助をしている。

  • Foinse Foinse logo
    アイルランド語で書かれた週刊新聞。ゴールウェイ州コナマラの Foinse が毎週土曜日に発行している。Foras na Gaeilge が資金援助をしている。

公的機関
  • Foras na Gaeilge
    アイルランド語庁。アイルランド語の使用を全アイルランドで奨励する機関で、1998年4月の北アイルランド和平合意で生まれた南北評議会のもとに置かれている。前身にあたる Bord na Gaeilge (アイルランド語協議会)、および An Gúm (出版局)、An Coiste Téarmaíochta (専門用語局)を統合した機関。アイルランド語に関する種々の活動(啓蒙、教育、文化等)を支援している。

  • Udaras na Gaeltachta - economic, social and cultural development in Ireland
    アイルランドのゲールタハト地域開発庁。ゲールタハトの経済、社会、文化の発展をはかり、口語としてのアイルランド語の使用を促進する政府機関(State Agency)。

ケルト諸国
  • The International Celtic Congress
    六つのケルト諸国(スコットランド、ブルターニュ、ウェールズ、アイルランド、コーンウォール、マン島)がつどい、ケルト諸語の言語文化を振興するため毎年ひらかれる国際会議。2002年は 'Language revival in the Community' のテーマで ウェールズ で7月22-27日に開催された。この会議ではそのときのテーマにそった講演のほか、語学講座、音楽、若者向け行事、地元の探索、文学の夕べなどが催される。

  • The Celtic League
    六つのケルト諸国の社会、政治、文化的権利の擁護を目的とする機関。六つのケルト諸語で書かれた季刊誌 Carn を出している。

ブログ
  • Tigh Mhichil
    アイルランド語詩歌を主に扱う。手前味噌になりますが、これは管理人が書いているブログです。


学べるところ | Index

日本の大学に(現代)アイルランド語の専攻学科はまだない。京都大学文学研究科行動文化学系の 言語学専修 では古アイルランド語を学ぶことが可能。また、早稲田大学の オープン教育センター では(現代)アイルランド語(初級)クラスが開かれており、東京圏の大学からの受講者も受付けている。初級とはいえ、Learning Irish を教科書に用いている。

2006 年4月から、天理大学のサテライト語学教室 でアイルランド語講座が開かれる。

いずれにしても、本格的に学ぶにはアイルランドの 大学 か各種のアイルランド語講座に行くのがよい方法だろう。大学レベルで、どこで何が研究できるかを調べるには IEBI (International Education Board Ireland)も参考になる。

私費によるアイルランド留学をあつかうところには、たとえば、I. C. T. (アイルランド留学センター)がある。

アイルランド全域におけるさまざまのアイルランド語習得の場については Foras na Gaeilge (アイルランド語庁)にくわしい。


講座
  • 大学書林国際語学アカデミー ヨーロッパ語講座 ゲール語(アイルランド)
    一般むけの講座として恒常的に開かれている、日本で数少ない講座。講師はブレンダン・ウェイトマンさんと渡辺 洋子さん。講座についての問い合わせは 03-3264-2131 まで。所在地は東京都千代田区六番町9番地AMビル。JR四ッ谷駅徒歩3分。

  • Oideas Gael
    アルスター地方のアイルランド語がまなべるドネゴール州の講座。アイルランド語以外に、二ヶ国語(アイルランド語と英語)によるたのしいプログラム(山歩き、ダンス、絵画、陶器づくり、考古学、環境と文化、フルートとホィッスル、バウロン)がある。冬をのぞく各季節に、3日間または1週間のコースが設定されている。所在地は Oideas Gael, Gleann Cholm Cille, Contae Dhún na nGall, Éire [Ireland]。

  • Oidhreacht Chorca Dhuibhne
    マンスター地方のアイルランド語がまなべるケリー州の夏期講座。アイルランド語だけのコース以外に、アイルランド語と考古学・自然環境、芸術、文学とをくみあわせたコースもある。所在地は Oidhreacht Chorca Dhuibhne, Baile an Fheirtéaraigh, Trá Lí, Co. Chiarraí, Ireland。

(禁無断転載 © 2001-2004 Micheál H)

(1) アイルランド語という呼称について:「アイルランド語」といえばアイルランドの言語のことになる。ところが、アイルランドでは第一公用語がアイルランド語で、第二公用語が英語である(憲法第8条に規定されている)。つまり、アイルランドでは公用語として二つの言語が用いられている(実用上は英語が全域で通じる)。そこで、単一の言語をさす名称として「アイルランド語」とは本来いいにくい。
 それをふまえたうえで、ここで特に「アイルランド語」という呼称でさすものは、アイルランド固有の(ケルト諸語に属する)言語のことである。すわなち英語で the Irish (language) または the (Irish) Gaelic と呼ぶもの、アイルランド語自身では Gaeilge [Gaedhealg, an teanga Gaedhilge] と呼ぶもののことである。これが、このことばをまぎれなくさすものとしてほぼ唯一の呼称であることを提唱したい(他の呼称については SIL の頁
GLI を参照。また、アイルランドで用いられる種々の言語については Languages of Ireland を参照)。
 なぜなら、日本で従来ひろくつかわれてきた「ゲール語」はいろいろな意味で不適当であるからである。「ゲール」という語をもちいるなら「ゲール諸語」とでもいうほかない。そのなかには複数の言語(アイルランド、スコットランド、マン島で話されるケルト諸語)がふくまれる。これら三つの言語を総称して q-ケルト語またはゴイデル語(派)という(Goidelic)。つまり、「ゲール語」といえば、事実上はこの「ゴイデル語派」というグループをさすことになる。なお、「ゴイデル語」というのは、ゲール諸語に先行する古い形として、比較言語学上、仮想されるものである。それから、長くなってもよければ「アイルランド・ゲール語」という言い方も理論的には可能である。
 ところで、ゴイデル語派が属するケルト諸語には、もうひとつ、p-ケルト語またはブリソン語(派)がある(Brythonic)。この一派にはウェールズ、コーンウォール、ブルターニュで話されるケルト諸語がふくまれる。
 これらのケルト諸語はインド・ヨーロッパ[印欧]語族(Indo-European)に属する(下の簡易図解参照。IE は印欧語族、そのなかにケルト諸語があり、それがゴイデル語派とブリソン語派とに分かれる。Goidelic と Brythonic のレベルから左はすべてグループであることに注意)。ケルト諸語を地理的に分類した場合には、大陸ケルト語群と島嶼ケルト語群とに分けられるが、前者に属する言語(ガリア語やケルト・イベリア語など)はすべて4世紀頃までに死滅した。われわれがここで問題にしているゴイデル語派やブリソン語派は島嶼ケルト語群に属する。くわしくは「参考文献」であげた『ケルト事典』の「言語」「ゲール語」「q-ケルト語」などの項を参照。

IE ── Celtic ── Goidelic --- Irish, Scottish Gaelic, Manx

└─ Brythonic -- Welsh, Cornish, Breton

 なお、英語は印欧語族のゲルマン諸語のなかの西ゲルマン語のグループに属する。ケルト諸語の分類で出てきた q とか p というのは、印欧(祖)語の段階で *qw であったと想定される音が、そのままか、または k 音で残ったケルト諸語を q-ケルト語、p 音に変化したケルト諸語を p-ケルト語と呼ぶことからきている。同音はラテン語では qu- として残り、英語では wh- (f-) に変化した。たとえば、「4」を表す語は、ラテン語で quattuor、アイルランド語で ceathair、ウェールズ語で pedwar、英語で four である。くわしくは Fios Feasa を参照。
 以上の言語の分類は系統論によったが、ほかの分類方法もある。くわしくは 世界の言語 を参照。たとえば、語順による分類では、アイルランド語は pN 型(前置詞−名詞)中の VSO 型(動詞−主語−目的語)で NA 型(名詞−形容詞)の言語に属する。つまり、アイルランド語(およびケルト諸語)の語順は、動詞、主語、目的語の順にならび、名詞の前に前置詞がきて、形容詞は名詞の後にくる。他にこの型に属する言語には、たとえばアラビア語、ベルベル諸語、ポリネシア諸語がある。日本語は Np 型中、SOV 型の AN 型である。
 スコットランド・ゲール語(スコットランド高地のゲール語)やウェールズ語やブルトン語に関するサイトは枚挙にいとまがない。もし、スコットランド・ゲール語がどんなものか関心があれば、Beag air Bheag をすすめる。アイルランド語に関心があるひとにもこのサイトは興味深いだろう。日本語による頁では、たとえば スコットランドのゲール語 などがある。いまも使用されている四つのケルト諸語(アイルランド語、スコットランド・ゲール語、ウェールズ語、ブルトン語)のうち、もっとも勢いの強いのはウェールズ語で、弱いのはブルトン語であるという説もある。


(2) アイルランド語について:アイルランド語詩の韻律法は現在では歌でのみ保存されているといえる。歌の韻律分析をおこなった書には、たとえば Pale Rainbow: An Dubh ina Bhán (by Brian O'Rourke. Irish Academic Press, 1990) がある(絶版)。同書であつかう10曲の歌 (Róisín Dubh, An Giolla Dubh, An Draighneán Donn, Sail Óg Rua, Bean an Fhir Rua, Coinnleach Glas an Fhómhair, An Chaora Ghlas, Aisling Gheal, Úna Bhán, An Caisideach Bán) をおさめたテープもある (Pale Rainbow I, II, G. T. D. CP006, 007; 1988)。 [Back to Top]

(3) 日本語による書籍について:『アイルランド・ゲール語辞典』(前田真利子、醍醐文子編、大学書林、2003)という愛和辞典がある。詳しくは、アイルランド語を調べる の頁を参照。おなじ出版社からは、ほかに『ゲール語基礎1500語』(三橋敦子編、大学書林、1985)という簡潔な語彙集があり、一般の単語以外に固有名詞一覧表、文法事項のまとめなどがある。また、『ゲール語四週間』(カハル・オー・ガルホール、三橋敦子著、1983;テープあり)、『ゲール語会話』(カハル・オー・ガルホール、三橋敦子、原久子著、1988;テープあり)、『やさしいゲール語読本T シォーンとモイラ』(三橋敦子、宮地裕美子著、1987;テープあり)、『たのしいゲール語読本U リア王の子たち』(カハル・オー・ガルホール、前田真利子、安達信明、三橋敦子著、1988;テープあり)、『うつくしいゲール語読本V ダブリンの街、山 エラガル』(カハル・オー・ガルホール著、1990)が同じ大学書林から出ている。 [Back to Top]

(4) ラジオの利用法について:インターネット(・ラジオ)でアイルランド語の聞ける機会は意外に多い。ftp などでダウンロードできるものはファイルとして何度も利用が可能であるが、ストリームの形で配信されるものも工夫すればくりかえし利用できる。簡単な方法はコンピュータの音声出力(ヘッドフォン端子など)を録音機(テープ、MD、DAT など)の入力につないで録音することである。アナログの音声を録音することになる。これに対し、コンピュータ上でディジタル音声のまま保存する方法もいろいろ考えられるが、一番手間が少ないのはインターネット・ストリームにも対応したレコーダー・ソフトをつかうことである。たとえば、Windows 上で動作する Total Recorder ($11.95)をつかえばインターネット上で聞こえるほとんどの音がコンピュータ上で「.WAV」形式で録音できる。また、「.RA」ファイル(RealAudio)を再生し同ソフトで録音して「.WAV」形式で保存することなどもできる。 [Back to Radio]


Leasaithe: 8 Eanár 2008


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